【まとめ】Seaspirasyで暴かれた漁業の真実と、その批判

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2014年に受賞した映画「Cowspiracy」の制作チームが制作したもので、持続可能な漁業という考え方に疑問を投げかけているドキュメンタリー映画
「Seaspiracy:偽りのサステイナブル漁業」

今回はそのSeaspiracyの暴かれた真実とその批判についてまとめていきます。

このドキュメンタリーは、カナダの菜食主義者のロックスター、ブライアン・アダムス氏をはじめとする著名人からも賞賛の声が寄せられています。

しかし、一方であまりに一方的な主張が続くドキュメンタリーに対して批判的な意見が飛び交っているのも事実です。

Seaspiracyを既に観た方、観てない方も勉強になるコンテンツになっているのでぜひ最後までお付き合いください。

あらすじ

Seaspiracy | Official Trailer | Netflix

このドキュメンタリーの監督アリ・タブリジは海を愛していて、海の素晴らしさを訴える番組を作ることになります。

しかし彼が海と向き合うことで直面したのは、数々の漁業の闇の部分でありました。

・海洋保護団体と資本主義のビジネス関係

・密漁

・海洋プラスチック

・奴隷労働

・人権侵害

これらの問題と向き合い陰謀を暴いていくストーリーになっています。

日本のクジラ密漁に始まり、ツナ缶などに表示されている「ドルフィンセーフラベル」、フカヒレのためにヒレだけ切られるサメ、奴隷環境での漁業労働など。

今まで知る事のなかった漁業の真実がたくさんあるドキュメンタリーです。

漁業が地球環境に与えている12の事実

https://www.seaspiracy.org/

1. 植物性食品への移行

2.2030年までに30%の海洋を保護するための漁獲禁止の海洋保護区の設置 

3.漁業補助金の廃止〈漁業補助金の廃止(現在、年間350億ドル)〉

https://www.seaspiracy.org/

・漁業は世界の大型魚の90%を絶滅させてしまった。

・漁業は、海洋野生生物にとって最大の脅威です。

年間30万頭のイルカ、クジラ、ネズミイルカが漁業によって殺されています。

・漁業によって、1時間に3万頭のサメが殺されています

https://www.seaspiracy.org/

・延縄船は、1日に地球を500周するほどの釣り糸を張ります。

海のマクロプラスチックの70%は漁具から来ている。

プラスチック製ストローは、海に入るプラスチックの0.03%に過ぎません

・底引き網漁では、航空機での移動に匹敵する量の炭素が排出される

https://www.seaspiracy.org/

年間24,000人の漁業従事者が仕事中に死亡しています。

毎年350億ドルもの補助金が漁業に与えられています。

・西アフリカでの外国人による漁業がエボラ出血熱の原因となっています。

水産業での強制労働は47カ国で報告されています。

Seaspiracyへの批判の意見

主張が強いドキュメンタリーで賞賛の声とは反対に、批判や物議を醸しているのもひとつの事実です。

日本語で検索してもなかなか話題にはなっていませんでしたが、海外では多くのメディアが、ドキュメンタリーで示されているデータに意義を唱えていました。

そこでいくつかまとめて紹介していきます。

【参考にしたサイト】

Seaspiracy: Netflix documentary accused of misrepresentation by participants
NGOs and experts quoted in film say it contains ‘misleading’ claims, erroneous statistics and out-of-context interviews
'Seaspiracy' fact check: An expert debunks the controversial Netflix doc
Is Netflix's 'Seaspiracy' worth watching? A marine ecologist debunks the movie's biggest mistake — and reveals what it got right.
Is Netflix's Seaspiracy film right about fishing damaging oceans?
Are the activities of the fishing industry destroying the world's oceans as a new film suggests?

・「2048年までに海は空っぽになる」

映画内で監督でありナレーターであるアリ・タブリジは2006年の研究結果をもとに、こう述べています。

“現在の漁業傾向が続けば、2048年には海がほとんどなくなってしまうでしょう”

しかしこれに対し、この研究の当人ボリス・ワーム教授は自身でこの予測を否定しています。


「2006年の論文は15年前のもので、そこに書かれているデータのほとんどは20年近く前のものです。それ以来、多くの地域で枯渇した魚の個体数を回復させるための努力が高まっています」

・太平洋のある地域のプラスチックの約50%は漁網

映画では、太平洋に漂う大きなゴミの集まりである「太平洋ゴミベルト」に、多くの網が含まれていることを以下のように指摘しています。

「太平洋ゴミベルト(GPGP)についてはよく耳にしますが、その46%は廃棄された漁網です。GPGPの46%は廃棄された漁網で、海洋生物にとってはプラスチック製のストローよりもはるかに危険なものです」

しかし、引用されたこの研究にはドキュメンタリーでは語られていない背景がありました。

この研究の著者は
「漁具は、ブイ、木箱、網など、そのほとんどが『太い』ものです。
このようなゴミは破砕速度が遅く、浮力も大きいため、GPGに滞留しやすいのです

一方、袋やストローなどの「薄い」プラスチックは、分解されて海底に沈む傾向があります。

と述べます。

つまり、ドキュメンタリーではストローなどのプラスチックよりも漁具のプラスチックの方が被害が大きいことを強調していましたが、そう見えやすいということも背景にはありました。

・プラスチック製ストローは、海洋プラスチックの0.03%しか占めていない

海のプラスチックの0.03%がストローであるという統計は、ジョージア大学のジェナ・ジャンベックと、オーストラリアの科学者デニス・ハーデスティとクリス・ウィルコックスの2人による研究結果に基づいています。
ドキュメンタリー内でもこの研究結果に基づき

「プラスチック製ストローは、海洋プラスチックの0.03%しか占めていない」

ことを述べ、私たちに意外な事実を突きつけました。

しかし、この研究結果は多くの言及を呼んでいます。

Jambeck教授によると、
「どれだけがストローなのかは誰にもよくわからないが、投棄された漁具よりはずっと少ないことは確かだというのが専門家の意見だ」

と言われています。

先にも述べたようにストローなどの軽いプラスチックは海に分解されやすく、そもそも正確なデータを取ることが難しいとのことでした。

・持続可能な漁業が存在しない

乱獲や漁業の実態を目の当たりにした監督アリ・タブリジはドキュメンタリー内で

「人間が魚を食べている限り持続可能な漁業は存在しない」

と結論付けました。

これに対し、イギリスのヨーク大学の海洋生態学者および漁業生物学者スチュワート氏は否定をしています。

スチュワート氏は「最大の誤りは、「持続可能な漁業は存在しない」と言っていることです。これは、「持続可能な農業は存在しない」と言っているのと同じです。すべての食糧生産システムが自然界に影響を与えていますが、明らかに他のシステムよりも影響が大きいものがあります。」

と否定し、

「国連食糧農業機関の最新の評価では、魚類資源の約3分の2(65.8%)が持続的に収穫されており
海洋漁業の全水揚げ量の78.7%が生物学的に持続可能な資源から得られていると算出されています。
しかし、問題がないわけではありません。1990年には10%しかなかった乱獲が、現在では約34%の魚種資源が乱獲されています。」

と具体的なデータまで提示しました。

まとめ

今回の記事ではSeaspiracy で取り上げられている漁業の衝撃的な真実と、その批判意見の両面を紹介しました。

このことからも分かるようにひとつの情報だけで、物事を判断してしまうのは危ういことが分かります。

これをきっかけにSeaspiracyを観たり、漁業が及ぼしている環境問題に興味を持ってもらえればうれしいです。

他にもネットフリックスにはドキュメンタリーがたくさんありますので是非。

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