【まとめ】「Kiss the ground」の要点と批判の意見(ネットフリックス)

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ネットフリックスにある環境系ドキュメンタリー「Kiss The Ground」を観たので今回は、
キス・ザ・グラウンドの要点と批判についてまとめていきます。

Kiss the Ground Film Trailer (2020)

最近、ネットフリックスの環境系ドキュメンタリーを見漁っているのですが、どれも主張が強く刺激的である一方、専門家などからは批判の声があがり議論を巻き起こしているの事実です。

特に海外ではその流れが強いように感じます。
まだkiss the groundを観ていない人や、内容をおさらいしたい人要点をまとめ
もっと詳しく追求したいと思う人に、海外サイトでの批判の意見もまとめていきます。

あらすじ

科学者、セレブ環境活動家、農業従事者、政治家たちが今こそ団結する。 大地と土壌こそが気候変動と闘い、地球を救う鍵となることをひも解くドキュメンタリー。

Netflixより

現在、目をそむ向ける事の出来ない問題になっている地球環境問題。
なんと、その解決策は我々が立っているこの大地、土壌にあると主張しその理由が多く語られています。

要点

私が思う大切なポイントを5つに絞ってみました。

1.なぜ大地が環境問題の鍵を握っているのか


この理由は、大地(土壌)は温室効果ガスを閉じ込めることが出来るからです

この大切さを理解するためには、温室効果ガスの仕組みを理解する必要があります。
排出された温室効果ガスは大気中に留まり、蓄積し続けます。
太陽からの熱を大地が反射するのですが、大気中に溜まった温室効果ガスがこの熱の放出を妨げてしまうのです。
これによって気温上昇が起きてしまうため、温室効果ガスの排出を食い止めなくてはならないのです。

しかし、大地はその温室効果ガスを土壌に閉じ込めることが出来るのです。


メカニズムとしては、植物は二酸化炭素を吸収し酸素を放出します。
その吸収した二酸化炭素の炭素40%を根に送っています。
根にたまった炭素は土壌と共有され、炭素を蓄えることが出来るのです。

2.砂漠化


このドキュメンタリーでは浸食による砂漠化問題が多く取り上げられていました。


現代の安価で大量生産にフォーカスした農法は土地の改善を目指していないと言っています。

NASAの調べでは地球の2/3が砂漠化していると言われています。
砂漠化が問題である理由はふたつあります。

ひとつは、さきほど大地が地球を救うと言いましたが、その大地には植物や微生物が生存している事が前提条件です。
露出した土地は熱を跳ね返し続け温暖化の原因になります。

ふたつめが、私たちの生活や移民問題に関わってきます。
露出した土壌は雨雲を熱で追いやり、雨を妨げさらなる砂漠化を引き起こします。
その結果、最低気温は低くなり、最高気温は上昇し、人々が生活できなくなってしまいます。

砂漠化が原因で毎年4千万人が故郷を追い出され、推定では2050年までには10億人が難民になると言われています。

3.REGENERATION/土壌回復

では果たして砂漠化を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。
その解決策がREGENERATION/土壌回復です。
ポイントはふたつです。
・不耕起
・再生的放牧

現代の農法で多く用いられている耕起は土壌を殺して砂漠化を招きます。
そのために耕起をしない不耕起農業がまず大切になってきます。

飼育場と放牧の違いを以下のように述べていました。

飼育場:温室効果ガス排出
放牧:温室効果ガス吸収

この仕組みを説明していきます。

まず地球温暖化の多くの原因を占めていると言われている畜産ですが、このドキュメンタリーでは牛は決して悪くないと言っています。
牛は移動型微生物タンクであり土壌を蘇らせることが出来ます。

牛は第一胃に微生物を大量に飼っていて繊維質を分解します。
そして牛の排泄物には微生物が大量に含まれているので、土壌の微生物も増えていき、土地が蘇ります。

牛などを管理的に放牧し土壌を育てながら畜産していくことで、地球に優しい畜産を可能に出来るといいます。

4.なぜ農薬がだめなのか

簡単に言うと、農薬を使うと微生物は死んでしまいます。

農薬を使う→微生物死ぬ→土壌が死ぬ→農薬使う→・・・
という悪循環にはまってしまうのです。

ではなぜそれでも農薬を使うのか。
それは政府からの助成金があるからだと言います。


仮に助成金がなくなってしまったら利益はゼロになると言っています。しかし、助成金をもらい農薬を使った農家は、その後、砂漠化していき破産していくことになります。

だからこそ、農薬を使わない農業が大切であり、農家にとってもリスクのない経営を可能に出来ると言います。

5.コンポスト

土壌を蘇らせるもう一つのポイントはコンポストです。

環境問題のひとつでもあるフードロスの解決策にもなりえます。

料理や食事で余った食べ物を、グリーンビン(ニュージーランド)で回収し、コンポストすることで、微生物が大量に詰まった肥料に姿を変えます。

そしてもうひとつがバイオトイレ
生活水準がまだ低い地域ではトイレの衛生問題があります。
これも解決できるのがバイオトイレとして紹介されていました。
排泄物を堆肥にすることで、立派な肥料にすることができるだけでなく、臭いなどの衛生問題も解決出来ます。

唯一の問題は人間が、排泄物に抵抗感をもっている事だけだと述べていました。

批判の声

海外のサイトを中心にKiss the groundに対する批判の意見を集めて紹介します。

Op-ed: 'Kiss the Ground' Misses the Complexity of Climate Solutions in the Soil
The new Netflix documentary misses the opportunity to explore the diversity of solutions to climate change on the farm.

残念ながら、気候変動の解決策として「土壌の健全性」という単純すぎるメッセージは、必要とされる多面的なアプローチを不明瞭にしています。


政治やプログラムについて簡単に触れていますが、連邦政府や州政府がどのような公的プログラムを農民に提供しているのかについては描かれていません。それどころか、土壌の健康と気候変動をめぐる「政治」については、2015年のCOP21で行われた1回の会議に触れているだけで、米国が農業の解決策にコミットすることはありませんでした。

‘Kiss the Ground’ review: The soil may save us, but it’s not that simple — Stone Pier Press
An unflinching but hopeful look at the potential of regenerative farming to restore soil health, grow good food, and reverse climate change.

このサイトの著者は、大学で生物学を学び、ロデール研究所で再生農業を学び、大学院でフードシステムを学んだ者として、専門的な関心を持って見て意見を述べています。

この映画は、時折、有名人が登場することもあり、関連する概念や問題がごちゃ混ぜになっているように感じることもありますが、全体的には楽観的なドキュメンタリーです。

炭素隔離と気候変動のメカニズムについての完璧な説明を、”地球を救う “とか “土壌を守る “といった、喚起力はあっても漠然とした言葉で包み込む必要性を感じていたのだと思います。

しかし、世界的なシステムの変化をテーマにした映画の中で、金持ちで白人のアメリカ人セレブをほとんど起用したことは無視できません。しかし、気候変動に歯止めをかけられない人々の声を中心に据えることは間違っていなかったと思います。結局のところ、有色人種、低所得者、移民のコミュニティは、食料を育てるための重要な仕事の大半をしているにもかかわらず、農産複合体から最も搾取され、被害を受けているのです。

全体的に、メッセージが楽観的で抽象的である点、セレブや著名人の活動ではなくて実際に食糧を育てる仕事をしている人たちをあまり取り上げていなかったことに、批判がありました。

まとめ

以上が、Kiss the ground の要約と批判のまとめでした。

個人的には土壌が温室効果ガスを閉じ込めているということも知らなかったし、耕起や農薬が砂漠化を引き起こし気候変動に与えている影響も知ることが出来たのでとても良い勉強になりました。

またこの本に関連したドキュメンタリーであり、今その本も読んでいて理解が深まってきているのでいつかまた紹介したいと思います。

Comments

  1. […] […]

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