【これで分かる】京都議定書とパリ協定の違い

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京都議定書とパリ協定。教科書やニュースでは聞いたことあるけど、なんのことかよく分からない。それぞれの違いってなに?名前からしてもう難しそう…

その気持ちすごい分かります。
でもこのご時世、この2つのワードを知らないと常識がない人だと思われてしまいます…

環境問題を考えるにあたり始まりとも言われる京都議定書とパリ協定。

そこで今日は、この2つの違いについて分かりやすく説明していきます。

 

私もつい3日前まで京都議定書とパリ協定について知らなかったし、もっと難しいものだと思っていました。そんな私でも理解できたのですが、正直かなり時間がかかりました。

その理由は、むずかしい記事がとにかく多かったからです。

そこで今回は、とにかく分かりやすく、違いを理解するために以下の内容だけに絞りました。

  • 京都議定書とパリ協定の違いについて

  • 京都議定書からパリ協定への流れ

  • 日本の目標

これさえ読めば京都議定書とパリ協定の違いは一目瞭然です。もう間違えません。
それではさっそく見ていきましょう。

京都議定書とパリ協定の違いとは

 「狭く、厳しくの京都議定書」

「広く、緩くのパリ協定」

 

2つの違いはこれです。
これさえ覚えておけばもう迷うことはないです。

では、はたしてどう意味なのでしょうか。

それぞれの違いを表にまとめてみました。

  京都議定書 パリ協定
発行年 1997COP3 2015COP21
対象の時期 ~2020 2020~
目標 “2008年~2012年の5年間で
1990年を基準にして温室効果ガス5%削減”
“世界の平均気温を産業革命前に比べ、
2℃より十分に低く、1.5℃以内の上昇に抑える”
参加国 先進国のみ 世界中の参加国
義務 目標達成 目標の提出

ひとつ目のポイントは京都議定書もパリ協定も気候変動枠組条約の中の取り決めであるということです。

これが理由で京都条約やパリ条約とは呼びません。

 

ふたつ目のポイントは参加国と義務です。

なぜ京都議定書は先進国のみの参加であったのに対し、パリ協定は全ての参加国

なぜ京都議定書は目標の達成が義務であったのに対し、パリ協定は目標の提出になっているのでしょうか。

 

これが冒頭に述べた

「狭く、厳しくの京都議定書」

「広く、緩くのパリ協定」と私が名付けた理由です。

 

そしてこの原因は先進国vs途上国によって引き起こされたことによります。

次の章で詳しく見ていきましょう

京都議定書からパリ協定へ~先進国vs途上国。互いに譲れない要求~

 

温室効果ガス大量排出、先進国

京都議定書が先進国にのみ削減義務が課されるようになったのは、これまでに排出してきた温室効果ガスが関係しています。

 地球温暖化による気温上昇は温室効果ガスの累積排出量と比例します。


つまり、排出した温室効果ガスは大気中に残り続けるということです。

 そしてその多くの温室効果ガスは、アメリカやヨーロッパ、日本などの先進国の経済発展によって排出されてきました。

ある計算結果では世界のうちで最も裕福な20%が世界の温室効果ガスの70%を排出しているとも言われているほどです。

 

このことから、京都議定書では「先進国が温室効果ガス排出量を削減すべきだ」として、先進国にのみ削減目標の達成を義務付けられました。

 

中国やインドの新興途上国の経済躍進


京都議定書発効後、温室効果ガス排出量の削減に取り組む先進国のかたわら、急激な経済発展を遂げたのが中国やインドです。


京都議定書にて削減を義務付けられていなかった中国などは、産業に投資しインフラを整え、猛烈なスピードで経済を発展させてきました。


しかし、その結果、大量の温室効果ガスを排出し地球環境へ大きなダメージを与えていたのです。

ここから経済発展と地球環境というふたつのジレンマに悩まされていきます。

 

先進国の怒り

地球環境に配慮せず経済を発展させるのは、不公平であると訴え、当時温室効果ガス排出量世界ナンバーワンのアメリカは、京都議定書に参加しませんでした。


これに続く形で日本も2期目には参加せず、京都議定書を離脱することになりました。

不参加国:アメリカ・カナダ…
離脱国:日本・ロシア・ニュージーランド

先進国のみ削減するのは不公平だ先進国。


一方、先進国が今まで影響を及ぼしてきたんだから、先進国が削減すべきとの途上国。

 

互いに経済への懸念を譲れずに、温室効果ガス排出量削減のための取り決めは、どっちつかずの状態になっていました。

 

そこに一手差し伸べたのが、当時アメリカ大統領のオバマ氏です。

ついに和解。~野心的な途上国~

 

2015年COP21が開かれたパリで、パリ協定成立に大きく貢献したのが、米中と開催国のフランスです。

特にオバマ大統領は積極的に先進国と途上国の全ての国に参加するように呼びかけました。

そうした中で徐々に動きが現れたのが途上国側です。

じつは途上国の中でも中国などの発展が進んできている新興途上国、ラテンアメリカなどの中間途上国、そしてアフリカなどの開発が遅れている途上国で分かれていました。


その中で環境問題に野心的な気持ちを示したのが中間途上国や最も開発の遅れている途上国の国々です。

これらの国々が新興途上国に対し、「我々も積極的に温室効果ガス排出量を削減すべき」だと呼びかけたことで、すべての国が参加するきっかけとなりました。

 

とはいえ、、、

積極的な途上国の参加によりついに成立が近づいてきたパリ協定。


とはいえ、やはり自国の経済のことも考えなくてはなりません。
そんな先進国vs途上国の折り合いをつけるために生まれたのが、

「世界の平均気温の上昇を、産業革命前に比べ、2℃より十分に低く、1.5℃未満を目指す」

という曖昧な目標なわけです。

したがってもう一度言いますが

「狭く、厳しくの京都議定書」

「広く、緩くのパリ協定」

この背景には先進国vs途上国の対立があったわけです。

 

ちなみに日本の目標は?

 

  京都議定書 パリ協定
目標 2008年~2012年の5年間で
1990年比で6%の削減
2013年比で26%の削減

日本は京都議定書での目標は、8.4%の削減達成を報告しています。

原発問題など多くの問題を抱えている日本ですが、パリ協定の目標は達成できるのでしょうか…

 

まとめ

もう一度だけ言わせてください。

「狭く、厳しくの京都議定書」

「広く、緩くのパリ協定」  

京都議定書は先進国のみ削減目標の達成を義務付けられた取り決めです。

パリ協定はすべての参加国削減目標の提出を義務付けられた取り決めです。

京都議定書でうまくいかなかった部分や反省点を、パリ協定に引き継がれたという流れになります。

 


そして、2021年現在、パリ協定の取り組みはすでにスタートしています。
コロナウイルスの影響もあり、削減が予想されますが、目標は達成できるのでしょうか。

 

このふたつを知っておくだけでニュースから得られる情報が全く違います。


いままでよく分からなかった小泉環境大臣のニュースも

「なぜ世界の国から厳しい批判を浴びているのか」

その理由が分かるようになります。

実際にどんな取り組みをしているのだろうか。

京都議定書やパリ協定についてもっと詳しく知りたくなった。

という方はこちらの記事で詳しく分かりやすく解説してるので、ぜひ読んでください。

 

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